スーザン・スペンサー・ポール の記事一覧
2007.07.15.Sun / 00:00
![]() | Susan Spencer Paul 『The Stolen Bride』 HS-141 2002-07 総合★★★☆☆/ホット度★★★☆☆ ヒーロー★★★★☆/ヒロイン★★★★☆ |
■あらすじ
戦友たちと共に、数多くの武勲を立ててきた騎士のケインは、
殺戮を繰り返す日々にいやけが差し、
剣を捨てて村の鍛冶屋として再出発を果たした。
実の父、レンフロー卿に初めて会う心づもりもできて、
ようやく心の平安をつかみかけたところだった。
それが、領主のひとり娘ソフィアと知り合ったことで、
ケインの心がふたたび揺らぎはじめている。
というのも、彼女にしつこく言い寄るサー・グリエルが、
目的のためには暴力も辞さない卑劣な輩だったからだ。
彼に痛めつけられた彼女を目にしたとき、
抑えつけていたケインの騎士の魂が息を吹き返した。
ソフィアの身はおれが守ってみせる――この命をかけて。
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■設定
ヒーロー ... ケイン/イギリス人/元騎士で鍛冶屋
ヒロイン ... ソフィア・アールグレン (19)/イギリス人/アールグレン領主の娘
■二人の出会い
一年前、ヒーローがヒロインの父親が治めるワース村に移住して。ヒロインは女主人の勤めとして村に出て雑用をこなす習慣があり、ヒーローは最初にヒロインを村で見かけた時、その美しさに思わず目を見張ります。
■ヒーロー紹介
フランス遠征に十年間、従軍した元騎士。数々の武勲を挙げ、“血に飢えたケイン”“皆殺しのケイン”の異名を取る。最後の作戦で諜報員のミスにより、修道院を襲撃、女子供を皆殺しにしてしまった良心の呵責に耐えかね、騎士をやめます。現在は、村で鍛冶屋を経営。愛馬トスタンは戦場を駆け抜けた無二の相棒。子供のころ、貴族の父親に母親ともども厄介払いされ、母親は娼婦になります。季節ごとに父親からの仕送りはあったものの、母親が泣いている姿を見て育ったため、生涯、父親を許さないと決めていますが、ヒーロー以外に息子が出来なかった父親は、死期が迫っていることもあり、何とか仲直りをしたいと願い、ヒーローも親友たちの説得によって父親に会いに行こうと決心します。
■ヒロイン紹介
繊細だが意志の強さを感じさせる美女。金茶色の髪と濃いブルーの瞳の持ち主。父親が意気地なしで、母親が亡くなった13歳のときから、ヒロインがワース村の人々のことを気にかけ、領地の運営の仕方を家庭教師に学んでいきます。
■二人の初kiss
聖ヨハネの祝日の祭りの夜、祭りに参加した人々で羊歯の花(夏至の夜、花に不思議な力が宿るという噂がある)を探そうという話になり、ヒーローはヒロインに引っ張られて、暗い森の奥へと入ります。昼間、ヒーローはヒロインに結婚を強要する乱暴者とやり合い、今後、その男が脅しをかけてきたら自分に知らせるよう言います。けれどもヒロインは、その男は国王軍の騎士なので、逆らえばヒーローが絞首刑になるから、ヒーローに関わり合いになってほしくないと望みます。その健気な言葉に心を動かされたヒーローは、ヒロインの頬に手を添えると、ヒロインの名を囁きながら唇を重ねます。
■二人の初夜
ヒーローが二度目の騎士になった儀式の夜。もう二度と人殺しはしないと誓い、剣を捨てたヒーローですが、ヒロインを守るためには父親の領地と地位を受け継ぐ必要性があり、ヒロインのために敢えて騎士に戻ります。そのことで心を痛めるヒロイン。ヒーローも再び課されることになった騎士の価値観(主君の命令に従って、必要なら人を殺すことが、何よりも名誉に値する)を有しなくてはならないと思うと苦悩せずにはいられず、安らぎを求め、ヒロインの元を訪れます。二人は労わりあいながら、甘美な喜びをともにしたのでした。
■お気に入りのセリフ
「ケイン!ケイン!」「この売女!この雌犬!このあばずれ!わたしを怒らせたらどうなるか警告しておいたのに。本当にわたしを怒らせてしまったな。こうなれば、死ぬまで忘れられないお仕置きをしてやるしかなさそうだ。――おお、よかった。お目覚めだ。これからわたしがすることを、すべて覚えておいてほしいのでね。そうすれば、二度とわたしの意思に逆らえない」「やめて。神さま、どうか…」「そうやって泣きつかれると、たまらない。何よりそそられる。さかりのついた雌犬には、雌犬にふさわしく、こうして後ろから交わってやろう。わたしが心ゆくまで楽しんだら、今度は家臣たちがアールグレンのお嬢さんを味わう番だ。“素性の知れないケイン”も、我々が手をつけたあとでは、大金を積まれても、指一本触れんだろう。おまえはわたしの娼婦になるんだ。わたしだけのな。どうだ、感じるか?これをおまえのなかに力いっぱい突き立ててやる。一週間は、歩くたびに思い出すだろうよ。間違いな――」「ソフィア。かわいそうに。だいじょうぶだ。もうきみに手出しはできない」
ヒロイン&ヒロインの求婚者&ヒーロー。森の奥でヒーローと逢引するつもりのヒロインは、途中で求婚者とその家臣に見つかり、馬で追われて追い詰められます。求婚者は逃げるヒロインを木の幹に叩きつけ、気を失ったヒロインに水をかけて目覚めさせ、部下の見ている前でヒロインのスカートと下着を剥いて自分のアレを擦り付けて、と当て馬の分際でやりたい放題の鬼畜っぷりにドン引きしました。危機一髪のところをヒーローがまず家臣共を声もなく倒し、次いで求婚者を気絶させます。アソコ丸出しで気絶という図はかっこ悪すぎですが、ヒーローはヒロインをこんな目に遭わせた男を簡単には殺したくないからそのまま放置してヒロインを連れ去ります( ̄д ̄)エー。アソコを切り落とすくらいはしてもいいんじゃないの?目撃者もいないことだし、求婚者だって事が事だけにまさかヒーローに去勢された〜と訴えるワケにもいかないだろうから、泣き寝入りするだろうし。我ながらいいアイディアだと思うんだけどなぁ。
「二度と人は殺したくない。考えただけで心が痛む。だが、そうするのが正しいときもあるんだ」「それなら、人を殺すのは、そうするのが正しいときだけにすると誓えばいいわ」「それ以外のときは、国王さまの命令であろうと、人は殺さないって」「サー・ジャスティンにも同じことを言われたよ。王の摂政に手紙を書いて、おれの意向を説明するようにとね。要望が受け入れられないときは、爵位を失わないために、かなりの出費をしなければならない。だが、たかが金だ。それですむなら、払うだけの価値はある」「本当に、そうだわ。あなたがサー・グリエルの死にかかわらなくてよかった」「そうだな。おれの務めを横取りしたと、あのときは仲間たちにひどく腹が立ったが、今では感謝している。あの日、あいつらはおれにひとりも殺させなかった。そのことは、もう話したかな?」「いいえ、まだよ」「モールタンを包囲するずっと前から、おれにはひとりも殺させまいと、あいつらはこっそり決めていたんだ。こっちは戦う気だったから、かなり厄介な仕事だったにちがいない。だが、敵に切りかかっていくたびに、三人のうちの誰かがしゃしゃり出てきて、おれの先を越すんだ。とどめを刺そうとしているときに、押しのけられもしたよ。あの戦いのあいだ、おれの剣が血で汚されることは一度もなかった。人を殺さないという決心はとっくに変えていたんだから、あいつらもばかをしたものだが、それも友情の証だ。あいつらがあんなに懸命になって、おれが悲嘆に暮れないようにしてくれたと思うと、胸が張り裂けそうになる。ああいう仲間がいて、本当に幸せだ。なぜか、神はいろいろな幸せを、おれに与えてくださった。仲間や父、そして何より、きみという幸せをね。おれにはそんな幸せを受ける値打ちはないが、言葉では表せないほど感謝している」
ヒーロー&ヒロイン。ヒーローが戦争に行かなければ、また別の若者が戦地に赴き、ヒーローのような哀しい騎士を生み出してしまうような気がしますが、ヒーローは十年もの間、戦場で暮らして祖国にはもう十分すぎるほど貢献したから、こういう解決策もアリかなと思います。自分だけ戦争を避けるのではなく、戦争そのものを回避する反戦行動に動けばもっといいと思うんですが、これは当時の政治体制がどういうものか知らないので、ヒーローの立場ではどうしようもない問題なのかもしれません。サー・ジャスティンはヒーローの育ての親で、同じく身寄りがなく引き取られた竹馬の友が、今はそれぞれ地位のある騎士になっていて、ヒーローの敵に一緒に立ち向かってくれます。彼らは戦争で負ったヒーローの心の傷を知っていて、ヒーローに不殺の誓いを守らせるため、自分たちの刀を血に染めます。男同士の友情が熱いです。
■感想
長年の戦場生活で荒廃した心を抱えるヒーローの再出発の物語。ヒーローの贖罪意識が前面に出ていて欝っぽいし、ヒロインもショボい領主の娘で変態サド男に目をつけられてピンチの連続というヒーロー、ヒロイン共に苦労性気味なカップルでした。以前読んだことのある『美しき女戦士』のスピン・オフ作品なんですが、『美しき〜』がヒーローとヒロインの意地の張り合いを周囲が見守る明るめの作品だったのに比べ、本作品は一貫してシリアスでした。ヒストリカルは長編なだけに、シリアス一辺倒で来られると、結構読んでて疲れてくるんですよね〜。といっても、茨道の果てに幸せをつかむ王道ロマンスなので、読み応えは十分ありました。
本作はヒーローとヒーローの元仲間たちの厚い友情が見所だと思います。母と自分を捨てた父親を恨んでいたヒーローに、会いに行ってやれと友が説得したり、ヒロインのために厄介事を持ち込んできたヒーローを快く引き受けたりと、いいシーンが多かったです。ヒロインは特に個性はない普通の美しくて優しいヒストリカル・ヒロインでしたが、ボコボコにされて寝込んだり、誘拐されたりと受難率はかなり高めに設定されていて可哀想でした。
■入手可能先
アマゾン
新品なし/ユーズド商品 ¥210〜
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ヒーロー ... ケイン/イギリス人/元騎士で鍛冶屋
ヒロイン ... ソフィア・アールグレン (19)/イギリス人/アールグレン領主の娘
■二人の出会い
一年前、ヒーローがヒロインの父親が治めるワース村に移住して。ヒロインは女主人の勤めとして村に出て雑用をこなす習慣があり、ヒーローは最初にヒロインを村で見かけた時、その美しさに思わず目を見張ります。
■ヒーロー紹介
フランス遠征に十年間、従軍した元騎士。数々の武勲を挙げ、“血に飢えたケイン”“皆殺しのケイン”の異名を取る。最後の作戦で諜報員のミスにより、修道院を襲撃、女子供を皆殺しにしてしまった良心の呵責に耐えかね、騎士をやめます。現在は、村で鍛冶屋を経営。愛馬トスタンは戦場を駆け抜けた無二の相棒。子供のころ、貴族の父親に母親ともども厄介払いされ、母親は娼婦になります。季節ごとに父親からの仕送りはあったものの、母親が泣いている姿を見て育ったため、生涯、父親を許さないと決めていますが、ヒーロー以外に息子が出来なかった父親は、死期が迫っていることもあり、何とか仲直りをしたいと願い、ヒーローも親友たちの説得によって父親に会いに行こうと決心します。
■ヒロイン紹介
繊細だが意志の強さを感じさせる美女。金茶色の髪と濃いブルーの瞳の持ち主。父親が意気地なしで、母親が亡くなった13歳のときから、ヒロインがワース村の人々のことを気にかけ、領地の運営の仕方を家庭教師に学んでいきます。
■二人の初kiss
聖ヨハネの祝日の祭りの夜、祭りに参加した人々で羊歯の花(夏至の夜、花に不思議な力が宿るという噂がある)を探そうという話になり、ヒーローはヒロインに引っ張られて、暗い森の奥へと入ります。昼間、ヒーローはヒロインに結婚を強要する乱暴者とやり合い、今後、その男が脅しをかけてきたら自分に知らせるよう言います。けれどもヒロインは、その男は国王軍の騎士なので、逆らえばヒーローが絞首刑になるから、ヒーローに関わり合いになってほしくないと望みます。その健気な言葉に心を動かされたヒーローは、ヒロインの頬に手を添えると、ヒロインの名を囁きながら唇を重ねます。
■二人の初夜
ヒーローが二度目の騎士になった儀式の夜。もう二度と人殺しはしないと誓い、剣を捨てたヒーローですが、ヒロインを守るためには父親の領地と地位を受け継ぐ必要性があり、ヒロインのために敢えて騎士に戻ります。そのことで心を痛めるヒロイン。ヒーローも再び課されることになった騎士の価値観(主君の命令に従って、必要なら人を殺すことが、何よりも名誉に値する)を有しなくてはならないと思うと苦悩せずにはいられず、安らぎを求め、ヒロインの元を訪れます。二人は労わりあいながら、甘美な喜びをともにしたのでした。
■お気に入りのセリフ
「ケイン!ケイン!」「この売女!この雌犬!このあばずれ!わたしを怒らせたらどうなるか警告しておいたのに。本当にわたしを怒らせてしまったな。こうなれば、死ぬまで忘れられないお仕置きをしてやるしかなさそうだ。――おお、よかった。お目覚めだ。これからわたしがすることを、すべて覚えておいてほしいのでね。そうすれば、二度とわたしの意思に逆らえない」「やめて。神さま、どうか…」「そうやって泣きつかれると、たまらない。何よりそそられる。さかりのついた雌犬には、雌犬にふさわしく、こうして後ろから交わってやろう。わたしが心ゆくまで楽しんだら、今度は家臣たちがアールグレンのお嬢さんを味わう番だ。“素性の知れないケイン”も、我々が手をつけたあとでは、大金を積まれても、指一本触れんだろう。おまえはわたしの娼婦になるんだ。わたしだけのな。どうだ、感じるか?これをおまえのなかに力いっぱい突き立ててやる。一週間は、歩くたびに思い出すだろうよ。間違いな――」「ソフィア。かわいそうに。だいじょうぶだ。もうきみに手出しはできない」
ヒロイン&ヒロインの求婚者&ヒーロー。森の奥でヒーローと逢引するつもりのヒロインは、途中で求婚者とその家臣に見つかり、馬で追われて追い詰められます。求婚者は逃げるヒロインを木の幹に叩きつけ、気を失ったヒロインに水をかけて目覚めさせ、部下の見ている前でヒロインのスカートと下着を剥いて自分のアレを擦り付けて、と当て馬の分際でやりたい放題の鬼畜っぷりにドン引きしました。危機一髪のところをヒーローがまず家臣共を声もなく倒し、次いで求婚者を気絶させます。アソコ丸出しで気絶という図はかっこ悪すぎですが、ヒーローはヒロインをこんな目に遭わせた男を簡単には殺したくないからそのまま放置してヒロインを連れ去ります( ̄д ̄)エー。アソコを切り落とすくらいはしてもいいんじゃないの?目撃者もいないことだし、求婚者だって事が事だけにまさかヒーローに去勢された〜と訴えるワケにもいかないだろうから、泣き寝入りするだろうし。我ながらいいアイディアだと思うんだけどなぁ。
「二度と人は殺したくない。考えただけで心が痛む。だが、そうするのが正しいときもあるんだ」「それなら、人を殺すのは、そうするのが正しいときだけにすると誓えばいいわ」「それ以外のときは、国王さまの命令であろうと、人は殺さないって」「サー・ジャスティンにも同じことを言われたよ。王の摂政に手紙を書いて、おれの意向を説明するようにとね。要望が受け入れられないときは、爵位を失わないために、かなりの出費をしなければならない。だが、たかが金だ。それですむなら、払うだけの価値はある」「本当に、そうだわ。あなたがサー・グリエルの死にかかわらなくてよかった」「そうだな。おれの務めを横取りしたと、あのときは仲間たちにひどく腹が立ったが、今では感謝している。あの日、あいつらはおれにひとりも殺させなかった。そのことは、もう話したかな?」「いいえ、まだよ」「モールタンを包囲するずっと前から、おれにはひとりも殺させまいと、あいつらはこっそり決めていたんだ。こっちは戦う気だったから、かなり厄介な仕事だったにちがいない。だが、敵に切りかかっていくたびに、三人のうちの誰かがしゃしゃり出てきて、おれの先を越すんだ。とどめを刺そうとしているときに、押しのけられもしたよ。あの戦いのあいだ、おれの剣が血で汚されることは一度もなかった。人を殺さないという決心はとっくに変えていたんだから、あいつらもばかをしたものだが、それも友情の証だ。あいつらがあんなに懸命になって、おれが悲嘆に暮れないようにしてくれたと思うと、胸が張り裂けそうになる。ああいう仲間がいて、本当に幸せだ。なぜか、神はいろいろな幸せを、おれに与えてくださった。仲間や父、そして何より、きみという幸せをね。おれにはそんな幸せを受ける値打ちはないが、言葉では表せないほど感謝している」
ヒーロー&ヒロイン。ヒーローが戦争に行かなければ、また別の若者が戦地に赴き、ヒーローのような哀しい騎士を生み出してしまうような気がしますが、ヒーローは十年もの間、戦場で暮らして祖国にはもう十分すぎるほど貢献したから、こういう解決策もアリかなと思います。自分だけ戦争を避けるのではなく、戦争そのものを回避する反戦行動に動けばもっといいと思うんですが、これは当時の政治体制がどういうものか知らないので、ヒーローの立場ではどうしようもない問題なのかもしれません。サー・ジャスティンはヒーローの育ての親で、同じく身寄りがなく引き取られた竹馬の友が、今はそれぞれ地位のある騎士になっていて、ヒーローの敵に一緒に立ち向かってくれます。彼らは戦争で負ったヒーローの心の傷を知っていて、ヒーローに不殺の誓いを守らせるため、自分たちの刀を血に染めます。男同士の友情が熱いです。
■感想
長年の戦場生活で荒廃した心を抱えるヒーローの再出発の物語。ヒーローの贖罪意識が前面に出ていて欝っぽいし、ヒロインもショボい領主の娘で変態サド男に目をつけられてピンチの連続というヒーロー、ヒロイン共に苦労性気味なカップルでした。以前読んだことのある『美しき女戦士』のスピン・オフ作品なんですが、『美しき〜』がヒーローとヒロインの意地の張り合いを周囲が見守る明るめの作品だったのに比べ、本作品は一貫してシリアスでした。ヒストリカルは長編なだけに、シリアス一辺倒で来られると、結構読んでて疲れてくるんですよね〜。といっても、茨道の果てに幸せをつかむ王道ロマンスなので、読み応えは十分ありました。
本作はヒーローとヒーローの元仲間たちの厚い友情が見所だと思います。母と自分を捨てた父親を恨んでいたヒーローに、会いに行ってやれと友が説得したり、ヒロインのために厄介事を持ち込んできたヒーローを快く引き受けたりと、いいシーンが多かったです。ヒロインは特に個性はない普通の美しくて優しいヒストリカル・ヒロインでしたが、ボコボコにされて寝込んだり、誘拐されたりと受難率はかなり高めに設定されていて可哀想でした。
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2006.12.17.Sun / 00:00
![]() | Susan Spencer Paul 『The Captive Bride』 HS-116 2001-07 総合★★★★★/ホット度★★★☆☆ ヒーロー★★★★★/ヒロイン★★★★★ |
■あらすじ
キャサリンは十四歳のころから領主としてロマを支配してきた。
ところが二十一歳の今、その地位が揺らぎはじめている。
国王の摂政たちの差し金で、
かつての領主だった男の息子にロマが返還されるというのだ。
それも、彼女を花嫁にするという条件で!
会ったこともない男の花嫁!そんな男の言いなりになるのはいや!
ロマを訪れた花婿に、キャサリンが門前払いを食わせると、
彼は武力で、あっという間に城を制圧した。
予想とは異なり、
セネット・ゲイラールはきわめて男前で、しかも紳士的。
だが、彼の言葉は情け容赦がなかった。
「おれは正式にロマに付随するすべてのものの引き渡しを要求する。
そのなかには…きみ自身も含まれる」
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■設定
ヒーロー ... セネット・ゲイラール (26)/フランス人父とイギリス人母/騎士。ロマ城の新城主
ヒロイン ... キャサリン・マルサス (21)/イギリス人/ロマ城の城主
■二人の出会い
ヒーローは電光石火の攻撃でロマ城を攻略。ロマの兵士たちは武装解除されて中庭に集められ、ヒーローから説明を聞きますが、忠誠を誓う相手はヒロインだと叫びます。では、その姿も見せない女主人はどこにいるのか?と尋ねたヒーローに、回廊から「ここにいるわ」とヒロインが凛とした声で応えます。
■ヒーロー紹介
フランス王家と縁続きだった父親は家族への義務よりもフランスへの忠誠心を選び、イングランドがフランスの王座に野心を示すと同時に反逆者となり、裏切りが発覚して処刑されます。その時、ヒーローは騎士修行のために預けられていて、そこで奴隷の身分に貶められ、何年間も牛馬のように働かされます。16歳のとき、姉の夫(『花嫁泥棒(HS-94)』のヒーロー)に救出され、それから十年、ヒーローはずっと戦い続けてイングランドへの忠誠心を示し続けました。それが認められ、父親が不祥事を起こすまで四代に渡って一族が治めてきたロマの領地をヒロインとの結婚を条件に、返還されるが認められたのでした。澄んだ青い瞳と漆黒の髪の美男子。
■ヒロイン紹介
すらりと背が高い稀に見る美人。瞳は緑色で、髪は赤みがかった金。父親がロマの領地を拝領した時から(当時14歳)実質的に領地を治めてきた。
■二人の初kiss
結婚式で。結婚に同意せず、一度は逃げ出したヒロインですが、ヒーローの策略によって全面降伏を強いられ、それまで女主人として君臨してきたロマの城で多くの人々に見つめられながら、ヒーローから誓いのkissを受けます。
■二人の初夜
結婚式の夜。ロマを諦め、静かに暮らすために母の遺した小さな荘園に行くと言い出したヒロインに、ヒーローは自分のパートナーとして七日間夫婦生活を続けてみて、それから判断してほしいと頼みます。それを了承したヒロインが緊張で固くなっているのを見て取ったヒーローは、これは妻が嫌々果たすべき義務ではなく、二人で楽しむものだと丁寧に説明し、軽いキスを繰り返します。ヒーローを押しのけようとはせず、されるがままになるヒロインに、ヒーローは後頭部に手を添えて上を向かせると、今度は深く舌を絡ませます。やがて唇を離したとき、ヒロインは目を閉じ、うっとりと唇を開いていました。ヒーローはそんなヒロインを抱き上げると、ベッドに横たえます。ヒロインは漠然とヒーローの言ったことがわかり始め、心と体を閉ざすより、二人で快楽を分かち合う方を選びます。ヒーローはヒロインの下着を脱がせ、ちらつく暖炉の炎の中で、あらわになった裸身を見下ろします。恥ずかしがるヒロインに、ヒーローは両手と口を使って、いかにヒロインが美しいか教えます。ヒーローは唇を重ねたまま、指でヒロインの花心をまさぐりながら、自分の首に腕を回すよう促します。脚の間にヒーローの固いものを感じてヒロインは怯むのですが、ヒーローは「行くぞ、勇敢な奥方。しっかりつかまって」と励ましながら、ぐっと身を沈めて完全にヒロインの中に入り、動きを止めます。痛むか尋ねるヒーローに、ヒロインはそうでもないと答え、変な感じ、思っていたのと全然違う、と感想を述べます。ヒーローはゆっくりと動き始め、ヒロインは挿入ごとに痛みが薄れ、それに代わる別の緊張感が高まるのを感じます。ヒーローは優しいキスを繰り返しながら、リズムの取り方を教えます。甘い言葉を囁きながら、優しく愛撫するヒーローの攻撃の前に、やがてヒロインは激しい快感に耐えかね、声をあげ始めます。ヒーローがきつくヒロインを抱きしめると、ヒロインは激しい快感に襲われ、激しい痙攣が全身を走り抜けます。ヒーローもまた、激しく体を痙攣させ、つぶやくようにヒロインの名を呼び、やがて汗ばんだ体をぐったりとヒロインの上に横たえ、動かなくなったのでした。
■お気に入りのセリフ
「夫が妻を、妻が夫を愛するのは大いなる罪だ。教会はすべての愛は神に捧げるべきだと言っている。きみをそのハンリーと結婚させないことで、おれは善行を施すことになるのかもしれない。その男を愛しているのか?」「そうよ。この心のすべてで愛しているわ。罪深いことだなんて思わない。これほど純粋で不変な思いは、罪とは無縁だわ」「おれもそんなふうに愛したことがある。信じられないか?本当だよ。どこまでも、心の底から愛していた。いまきみが言ったような、いつまでも変わらぬ情熱で。教会に知られたら許しがたい大罪人と見なされていたかもしれない」「なぜその人と結婚しなかったの?そんなに愛していたなら、いくらロマのためでもあきらめきれなかったはずよ」「ああ。たとえロマのためでもあきらめはしなかっただろう。おれたちを引き裂くことができるものなど何もなかった。死以外は。オデリンはむごたらしく殺されたんだ。結婚を目前にして。あれから十年になるが、まだ彼女を忘れられない。つまり、おれたちは似た者同士というわけだ。二人とも、もはや手の届かない相手に心を捧げている。おれはきみの愛は求めない。だからハンリー卿への愛というきみの聖域が汚されることはない。おれのオデリンへの思いが永遠であるのと同じように」
ヒーロー&ヒロイン。教会は昔、夫婦は愛し合うなと教えてたんですね…初めて知りました。キリスト教が夫婦愛を否定するって、現代の感覚からすると非常に奇妙なものを感じます。
ヒーローとオデリンとの悲恋は、『花嫁泥棒』で描かれています。凶悪な悪女が暴れまくってオデリンが落命した他にも悲しい出来事が起きるお話で、悪人が出てこない本作と比べて、非常に痛々しかったです。『花嫁〜』の当時、ヒーローは奴隷生活から救出されたばかりなので、心を閉ざしていたのですが、オデリンはそんなヒーローの荒んだ心を癒してくれた人なので、ヒーローにとって永遠の女性なのです。
一方、ヒロインの婚約者への愛は、結婚しないでロマを治めていくための単なる口実です。
死んだオデリンに心を捧げているヒーローと婚約者への偽りの愛を盾にヒーローを拒もうとするヒロインが、どうやって心を通わせていくかが本作の見所です。
「それより、男の話をするなら、ぜひキャサリンさまの婿君のお話もうかがいたいものですわ。仇のように憎んでいた殿方と結婚して丸一日にしかならないにしては、だいぶお安くないご様子でしたけど。すっかり意気投合しておいでのようにお見受けしましたわ。さっきの一幕がわたしの見間違いでなければ」「さっきの一幕って?」「なんでもないのよ」「うちのご領主さまと奥方さまが、仲よく頭を寄せあって何やら熱心に話しあっているのを見ただけよ。いかにも熱々という雰囲気だったわ」「おまえは長旅で疲れているのよ、ドロ。サー・セネットとは口論していただけよ。すぐにおまえを尋問すると言うから、休ませるのが先だと言っただけだわ」「あなたが口論なさるのは何度も見たことがありますけど、キャサリン・マルサス――失礼、もうゲイラールでしたわね――あんな顔をなさってのは見たことがありません。あれは恋する女の顔でしたわ」「違うわ!わたしはあの男を憎んでいるのよ、会ったときからずっと。そう簡単に男に、ましてやあんな男に心を奪われるようなわたしではないわ」「でも結婚なさいましたわ」「卑劣な方法で承知させられたのよ!くわしいことはメーガンに聞くといいわ」「でもね、とってもロマンチックだったのよ。指輪の交換までして」「メーガン!」「今日だって、お昼が過ぎてもなかなか寝室から出てこないし」「そうなの?なるほどね。どうやらせネット・ゲイラールが征服したのはロマだけではなさそうね」「いいかげんにして!なんて侍女たちなの、よってたかって主人をからかって」
三人の侍女(ヒロインが預かっている良家の子女)&ヒロイン。結婚式の翌日、妻の仕事(掃除洗濯炊事etc)が何もできなくて城の中をウロウロしたり落ち込んでいたりしたヒロインに、ヒーローはそんな誰でもできるようなことをヒロインにしてもらおうとは思っていない、今まで通り城の運営をして自分を助けてほしいと言います。今まで通りということは、城主の座に座って領地を治められるのかと喜ぶヒロインですが、体面もあるし領主の座に座るのは自分だと譲らないヒーロー。それで言い争いになりますが、結局、ヒーローはもう一つ椅子を持ってきて、二人で領主の座(要するに一番上座)に座ることにします。結婚したら妻は夫の付属物になってしまうと思っていたヒロインは、すっかりヒーローを見直します。そんなヒロインの様子を見たヒロインの侍女たちは、一斉にヒロインをからかい出します。結婚前はヒロインに忠義立てしてヒーローに警戒心いっぱいだった侍女たちも、ヒーローのヒロインへの思いやりを見て、結果的には良い結婚だったと思うようになっています。ヒストリカルでこういう女主人と侍女たちが気安くきゃあきゃあ言っている幸せそうなシーンって、私は好きです。
「レディ・キャサリンの裁定はこれまでどおりの力を持つ。前と違うことがあるとしたら、いまではおれがその決定を支持し、それにさからう者があれば罰する用意があるということだ。よく覚えておけ。しばらく姿を見せないほうが賢明だろうな。今度会ったときは、これほど辛抱強くはふるまわないかもしれないぞ。さあ、消えろ。――今日はもう訴え事はなかったな。おいで、出かける用意をしよう。もうこんなことにはうんざりだ」「ありがとう」「礼を言うのはおれのほうだ。きみがいなければ、とんでもない過ちを犯すところだった。それにしても今朝のきみには驚いたよ。てっきり領民の前では貴婦人然として、気高く冷ややかにふるまうものとばかり思っていたんだ。まさかあんなふうにどなりつけて、連中を震えあがらせるとはね!怒ることはないじゃないか、奥方。おれは褒めているんだよ。きみはすばらしいよ。見ていてうっとりしてしまった。あの激しさ、あの炎。鞭を手にしていなかったのが残念だ。あれで鞭があれば完璧だったのに。ケイン!」「なんだ?」「兵士の中に鞭を持っているやつがいたら、レディ・キャサリンのために一本買っておいてくれ。奥方がいつでも使えるように大広間に置いておこう」「わかった」「セネット!セネット、あなたは絶対にまともじゃないわ。頭がどうかしているのよ」「そうだな。たぶんそうなんだろう。だけど、それもみんなきみが悪いんだぞ、おれの女戦士。おれとしては、ずっとこのままでいたいね。こんな気のふれ方なら大歓迎だ」
ヒーロー&ヒロイン&ヒーローの友人の騎士。城主が代わったことをいいことに、一度はヒロインが裁定を下した問題をもう一度訴えた領民たちですが、ヒロインがヒーローと共に領主の座に就いているのを見て驚きます。しどろもどろに陳情を始めたものの、ヒロインに怒鳴りつけられ、ヒーローからも軽く睨まれ、ほうほうの体で逃げ出します。自分を支持すると言ってくれたヒーローに、それまでずっと一人で領地を治めてきた重荷から解き放たれるヒロイン。一方、ヒーローはヒロインの気風の良さにすっかり惚れ込んでしまい、冗談を言いながら、ヒロインを抱え上げると笑いながらくるくると空中で振り回します。本作で私の一番好きな陽気なシーンでした。
蛇足ですが、女王様モードのヒロインにうっとりする辺り、ヒーローは潜在的Mだと思わずにはいられません。鞭は大広間でなく、寝室に飾っておくべきなのでは(笑)。
■感想
ワイワイガヤガヤ騒々しくも元気一杯に動き回る登場人物たちばかりで、楽しく読めた一冊でした。悪人が一人も登場せず、中世の時代の暗い部分(政治的な陰謀等々)も全くないヒストリカルなのに、中だるみもなく、とてもテンポが良かったです。ヒーローもヒロインも考えるよりも行動派なので、次から次へと行動を起こすため、作品にスピード感が生まれているし、ヒーローとヒロインの対立は最後まで緊張感がありました。脇を固めるサブキャラたち(ヒーローの友人の騎士&ヒロインの仲の良い侍女たち)も生き生きとして個性的。ヒーローもヒロインも周囲の友人に恵まれていることがよく描かれていて、ロマンスだけじゃなく友情描写でも読ませてくれました。
ヒーローは常に言葉で相手と分かり合おうとする努力をする人手、ヒロインとのやり取りや行動には、現代人でも良き夫として見習うべき点が多いと思います。ヒロインは最初、向こう見ずで無鉄砲な行動力を持つ女性だったんですが、初めて愛を知ったことで、その愛を失うことを恐れるようになる姿が可憐でした。それでいて、勝気で誇り高い性格は最後まで変わらなかったところも◎。ラストのまとめ方もロマンチックで盛り上がったし、私的には文句ナシでした。
■入手可能先
アマゾン
新品なし/ユーズド商品 ¥242〜
Close.△
ヒーロー ... セネット・ゲイラール (26)/フランス人父とイギリス人母/騎士。ロマ城の新城主
ヒロイン ... キャサリン・マルサス (21)/イギリス人/ロマ城の城主
■二人の出会い
ヒーローは電光石火の攻撃でロマ城を攻略。ロマの兵士たちは武装解除されて中庭に集められ、ヒーローから説明を聞きますが、忠誠を誓う相手はヒロインだと叫びます。では、その姿も見せない女主人はどこにいるのか?と尋ねたヒーローに、回廊から「ここにいるわ」とヒロインが凛とした声で応えます。
■ヒーロー紹介
フランス王家と縁続きだった父親は家族への義務よりもフランスへの忠誠心を選び、イングランドがフランスの王座に野心を示すと同時に反逆者となり、裏切りが発覚して処刑されます。その時、ヒーローは騎士修行のために預けられていて、そこで奴隷の身分に貶められ、何年間も牛馬のように働かされます。16歳のとき、姉の夫(『花嫁泥棒(HS-94)』のヒーロー)に救出され、それから十年、ヒーローはずっと戦い続けてイングランドへの忠誠心を示し続けました。それが認められ、父親が不祥事を起こすまで四代に渡って一族が治めてきたロマの領地をヒロインとの結婚を条件に、返還されるが認められたのでした。澄んだ青い瞳と漆黒の髪の美男子。
■ヒロイン紹介
すらりと背が高い稀に見る美人。瞳は緑色で、髪は赤みがかった金。父親がロマの領地を拝領した時から(当時14歳)実質的に領地を治めてきた。
■二人の初kiss
結婚式で。結婚に同意せず、一度は逃げ出したヒロインですが、ヒーローの策略によって全面降伏を強いられ、それまで女主人として君臨してきたロマの城で多くの人々に見つめられながら、ヒーローから誓いのkissを受けます。
■二人の初夜
結婚式の夜。ロマを諦め、静かに暮らすために母の遺した小さな荘園に行くと言い出したヒロインに、ヒーローは自分のパートナーとして七日間夫婦生活を続けてみて、それから判断してほしいと頼みます。それを了承したヒロインが緊張で固くなっているのを見て取ったヒーローは、これは妻が嫌々果たすべき義務ではなく、二人で楽しむものだと丁寧に説明し、軽いキスを繰り返します。ヒーローを押しのけようとはせず、されるがままになるヒロインに、ヒーローは後頭部に手を添えて上を向かせると、今度は深く舌を絡ませます。やがて唇を離したとき、ヒロインは目を閉じ、うっとりと唇を開いていました。ヒーローはそんなヒロインを抱き上げると、ベッドに横たえます。ヒロインは漠然とヒーローの言ったことがわかり始め、心と体を閉ざすより、二人で快楽を分かち合う方を選びます。ヒーローはヒロインの下着を脱がせ、ちらつく暖炉の炎の中で、あらわになった裸身を見下ろします。恥ずかしがるヒロインに、ヒーローは両手と口を使って、いかにヒロインが美しいか教えます。ヒーローは唇を重ねたまま、指でヒロインの花心をまさぐりながら、自分の首に腕を回すよう促します。脚の間にヒーローの固いものを感じてヒロインは怯むのですが、ヒーローは「行くぞ、勇敢な奥方。しっかりつかまって」と励ましながら、ぐっと身を沈めて完全にヒロインの中に入り、動きを止めます。痛むか尋ねるヒーローに、ヒロインはそうでもないと答え、変な感じ、思っていたのと全然違う、と感想を述べます。ヒーローはゆっくりと動き始め、ヒロインは挿入ごとに痛みが薄れ、それに代わる別の緊張感が高まるのを感じます。ヒーローは優しいキスを繰り返しながら、リズムの取り方を教えます。甘い言葉を囁きながら、優しく愛撫するヒーローの攻撃の前に、やがてヒロインは激しい快感に耐えかね、声をあげ始めます。ヒーローがきつくヒロインを抱きしめると、ヒロインは激しい快感に襲われ、激しい痙攣が全身を走り抜けます。ヒーローもまた、激しく体を痙攣させ、つぶやくようにヒロインの名を呼び、やがて汗ばんだ体をぐったりとヒロインの上に横たえ、動かなくなったのでした。
■お気に入りのセリフ
「夫が妻を、妻が夫を愛するのは大いなる罪だ。教会はすべての愛は神に捧げるべきだと言っている。きみをそのハンリーと結婚させないことで、おれは善行を施すことになるのかもしれない。その男を愛しているのか?」「そうよ。この心のすべてで愛しているわ。罪深いことだなんて思わない。これほど純粋で不変な思いは、罪とは無縁だわ」「おれもそんなふうに愛したことがある。信じられないか?本当だよ。どこまでも、心の底から愛していた。いまきみが言ったような、いつまでも変わらぬ情熱で。教会に知られたら許しがたい大罪人と見なされていたかもしれない」「なぜその人と結婚しなかったの?そんなに愛していたなら、いくらロマのためでもあきらめきれなかったはずよ」「ああ。たとえロマのためでもあきらめはしなかっただろう。おれたちを引き裂くことができるものなど何もなかった。死以外は。オデリンはむごたらしく殺されたんだ。結婚を目前にして。あれから十年になるが、まだ彼女を忘れられない。つまり、おれたちは似た者同士というわけだ。二人とも、もはや手の届かない相手に心を捧げている。おれはきみの愛は求めない。だからハンリー卿への愛というきみの聖域が汚されることはない。おれのオデリンへの思いが永遠であるのと同じように」
ヒーロー&ヒロイン。教会は昔、夫婦は愛し合うなと教えてたんですね…初めて知りました。キリスト教が夫婦愛を否定するって、現代の感覚からすると非常に奇妙なものを感じます。
ヒーローとオデリンとの悲恋は、『花嫁泥棒』で描かれています。凶悪な悪女が暴れまくってオデリンが落命した他にも悲しい出来事が起きるお話で、悪人が出てこない本作と比べて、非常に痛々しかったです。『花嫁〜』の当時、ヒーローは奴隷生活から救出されたばかりなので、心を閉ざしていたのですが、オデリンはそんなヒーローの荒んだ心を癒してくれた人なので、ヒーローにとって永遠の女性なのです。
一方、ヒロインの婚約者への愛は、結婚しないでロマを治めていくための単なる口実です。
死んだオデリンに心を捧げているヒーローと婚約者への偽りの愛を盾にヒーローを拒もうとするヒロインが、どうやって心を通わせていくかが本作の見所です。
「それより、男の話をするなら、ぜひキャサリンさまの婿君のお話もうかがいたいものですわ。仇のように憎んでいた殿方と結婚して丸一日にしかならないにしては、だいぶお安くないご様子でしたけど。すっかり意気投合しておいでのようにお見受けしましたわ。さっきの一幕がわたしの見間違いでなければ」「さっきの一幕って?」「なんでもないのよ」「うちのご領主さまと奥方さまが、仲よく頭を寄せあって何やら熱心に話しあっているのを見ただけよ。いかにも熱々という雰囲気だったわ」「おまえは長旅で疲れているのよ、ドロ。サー・セネットとは口論していただけよ。すぐにおまえを尋問すると言うから、休ませるのが先だと言っただけだわ」「あなたが口論なさるのは何度も見たことがありますけど、キャサリン・マルサス――失礼、もうゲイラールでしたわね――あんな顔をなさってのは見たことがありません。あれは恋する女の顔でしたわ」「違うわ!わたしはあの男を憎んでいるのよ、会ったときからずっと。そう簡単に男に、ましてやあんな男に心を奪われるようなわたしではないわ」「でも結婚なさいましたわ」「卑劣な方法で承知させられたのよ!くわしいことはメーガンに聞くといいわ」「でもね、とってもロマンチックだったのよ。指輪の交換までして」「メーガン!」「今日だって、お昼が過ぎてもなかなか寝室から出てこないし」「そうなの?なるほどね。どうやらせネット・ゲイラールが征服したのはロマだけではなさそうね」「いいかげんにして!なんて侍女たちなの、よってたかって主人をからかって」
三人の侍女(ヒロインが預かっている良家の子女)&ヒロイン。結婚式の翌日、妻の仕事(掃除洗濯炊事etc)が何もできなくて城の中をウロウロしたり落ち込んでいたりしたヒロインに、ヒーローはそんな誰でもできるようなことをヒロインにしてもらおうとは思っていない、今まで通り城の運営をして自分を助けてほしいと言います。今まで通りということは、城主の座に座って領地を治められるのかと喜ぶヒロインですが、体面もあるし領主の座に座るのは自分だと譲らないヒーロー。それで言い争いになりますが、結局、ヒーローはもう一つ椅子を持ってきて、二人で領主の座(要するに一番上座)に座ることにします。結婚したら妻は夫の付属物になってしまうと思っていたヒロインは、すっかりヒーローを見直します。そんなヒロインの様子を見たヒロインの侍女たちは、一斉にヒロインをからかい出します。結婚前はヒロインに忠義立てしてヒーローに警戒心いっぱいだった侍女たちも、ヒーローのヒロインへの思いやりを見て、結果的には良い結婚だったと思うようになっています。ヒストリカルでこういう女主人と侍女たちが気安くきゃあきゃあ言っている幸せそうなシーンって、私は好きです。
「レディ・キャサリンの裁定はこれまでどおりの力を持つ。前と違うことがあるとしたら、いまではおれがその決定を支持し、それにさからう者があれば罰する用意があるということだ。よく覚えておけ。しばらく姿を見せないほうが賢明だろうな。今度会ったときは、これほど辛抱強くはふるまわないかもしれないぞ。さあ、消えろ。――今日はもう訴え事はなかったな。おいで、出かける用意をしよう。もうこんなことにはうんざりだ」「ありがとう」「礼を言うのはおれのほうだ。きみがいなければ、とんでもない過ちを犯すところだった。それにしても今朝のきみには驚いたよ。てっきり領民の前では貴婦人然として、気高く冷ややかにふるまうものとばかり思っていたんだ。まさかあんなふうにどなりつけて、連中を震えあがらせるとはね!怒ることはないじゃないか、奥方。おれは褒めているんだよ。きみはすばらしいよ。見ていてうっとりしてしまった。あの激しさ、あの炎。鞭を手にしていなかったのが残念だ。あれで鞭があれば完璧だったのに。ケイン!」「なんだ?」「兵士の中に鞭を持っているやつがいたら、レディ・キャサリンのために一本買っておいてくれ。奥方がいつでも使えるように大広間に置いておこう」「わかった」「セネット!セネット、あなたは絶対にまともじゃないわ。頭がどうかしているのよ」「そうだな。たぶんそうなんだろう。だけど、それもみんなきみが悪いんだぞ、おれの女戦士。おれとしては、ずっとこのままでいたいね。こんな気のふれ方なら大歓迎だ」
ヒーロー&ヒロイン&ヒーローの友人の騎士。城主が代わったことをいいことに、一度はヒロインが裁定を下した問題をもう一度訴えた領民たちですが、ヒロインがヒーローと共に領主の座に就いているのを見て驚きます。しどろもどろに陳情を始めたものの、ヒロインに怒鳴りつけられ、ヒーローからも軽く睨まれ、ほうほうの体で逃げ出します。自分を支持すると言ってくれたヒーローに、それまでずっと一人で領地を治めてきた重荷から解き放たれるヒロイン。一方、ヒーローはヒロインの気風の良さにすっかり惚れ込んでしまい、冗談を言いながら、ヒロインを抱え上げると笑いながらくるくると空中で振り回します。本作で私の一番好きな陽気なシーンでした。
蛇足ですが、女王様モードのヒロインにうっとりする辺り、ヒーローは潜在的Mだと思わずにはいられません。鞭は大広間でなく、寝室に飾っておくべきなのでは(笑)。
■感想
ワイワイガヤガヤ騒々しくも元気一杯に動き回る登場人物たちばかりで、楽しく読めた一冊でした。悪人が一人も登場せず、中世の時代の暗い部分(政治的な陰謀等々)も全くないヒストリカルなのに、中だるみもなく、とてもテンポが良かったです。ヒーローもヒロインも考えるよりも行動派なので、次から次へと行動を起こすため、作品にスピード感が生まれているし、ヒーローとヒロインの対立は最後まで緊張感がありました。脇を固めるサブキャラたち(ヒーローの友人の騎士&ヒロインの仲の良い侍女たち)も生き生きとして個性的。ヒーローもヒロインも周囲の友人に恵まれていることがよく描かれていて、ロマンスだけじゃなく友情描写でも読ませてくれました。
ヒーローは常に言葉で相手と分かり合おうとする努力をする人手、ヒロインとのやり取りや行動には、現代人でも良き夫として見習うべき点が多いと思います。ヒロインは最初、向こう見ずで無鉄砲な行動力を持つ女性だったんですが、初めて愛を知ったことで、その愛を失うことを恐れるようになる姿が可憐でした。それでいて、勝気で誇り高い性格は最後まで変わらなかったところも◎。ラストのまとめ方もロマンチックで盛り上がったし、私的には文句ナシでした。
■入手可能先
アマゾン
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